鈴の文箱

日々の雑感(覚書)、本のこと(ネタバレあり)

一般文庫

拾われた1ペニーの花嫁

あけましておめでとうございます。 昨年、隙間時間にチョコチョコ読んでいたロマンス小説。下書きしたまま忘れていた(笑)。 レビューの評判が良かったので、選んだのがこれ。 ハーレクインのMirabooks『拾われた1ペニーの花嫁』(カーラ・ケリー著 佐野晶…

受験必要論

購入したのは数か月前で、隙間時間に少しずつ読んで、今日、やっと読了。 『受験必要論』(林修 著) 受験必要論 人生の基礎は受験で作り得る (集英社文庫) 作者:林修 集英社 Amazon 病院帰りの丸善で衝動買いしたもので、このインパクトの強い表紙に「カバ…

インナーマザー

先週、従妹が急死した。彼女は以前書いた記事「自分のついた嘘を真実だと思い込む人 - 鈴の本箱」で触れたK叔母の娘S子である。 「母という病/父という病 - 鈴の本箱 (hatenablog.com)」でも書いたが、S子は数年前にステージ4のがんが見つかり、他の臓器の…

こうやって、考える

以前から読んでみたいと思っていた外山滋比古の著作は数多く、どれを選ぶか迷いに迷ってきた。たとえば、ロングセラーの『思考の整理学 (ちくま文庫)』は、書店で何度か手に取ってパラパラとめくってみたが、読み切る自信がなく毎回見送っていた。他を探して…

結局、自分のことしか考えない人たち

タイトルが興味深くて購入した一冊。 『結局、自分のことしか考えない人たち』サンディ・ホチキス著 江口泰子訳 原文の英語版『WHY IS IT ALWAYS ABOUT YOU?』 「自己愛」の言葉から発想するのは、自分大好き、自己中心、ぐらいしか思いつかなかった。しかし…

ミー・ビフォア・ユー きみと選んだ明日

アマゾン・ビデオで『世界一キライなあなたに』にサム・クラフリンが出ていたので目の保養(笑)に観ていたら、ただの恋愛映画とはちがってラスト・シーンはちょっとショックを受けた。 車いす生活の青年実業家と、介護のために雇われた女性の恋の行方は!?映…

植物はそこまで知っている

師走に入り、ベランダに放置していたサボテンが、朝晩の冷え込みで元気をなくしているかと思いきや、昨日の20℃近い気温や紫外線たっぷりのまぶしい日差しで浮かれているのか、蕾を膨らませて開花の気配....。 「サボテンは音楽を聞かせるといい」というのを…

通い猫アルフィーと海辺の町

アルフィーシリーズ第4弾 『通い猫アルフィーと海辺の町』レイチェル・ウェルズ著 (以下ネタバレ) 読み終わってから一カ月以上経過。ブログを書くモチベーションが上がらないのは、暑さのせいなのか、歳のせいなのか(笑)。 さて、成熟したアルフィーと…

マンスフィールド・パーク

ようやく読み終えた長編小説。 『マンスフィールド・パーク』ジェーン・オースティン 主人公ファニー・プライスを中心に展開していきます。その世界は極めて小さく、登場人物は親戚とその友人や近隣の人たちの構成です。 (以下ネタバレ) まず、この3人姉…

娘の結婚

見逃し配信で『娘の結婚』というドラマを観ました。 中井貴一演じる父親と娘(波瑠)という設定で、妻亡き後、男手ひとつで娘を育て、年頃になった娘から「会ってほしい人がいるの」と紹介された男性は、かつて住んでいた隣人の息子。息子に不満はないが、そ…

道は開ける

私にとって「困った時の」一冊。 『道は開ける』デール・カーネギー著 気分の波によって些細なことで悩み始め、ずんずんと深みにはまるときがあって、なにも解決を得られずに時間を無駄に過ごしてきました。相談できるような親しい人もいないし、最終的にデ…

他人を支配したがる人たち

どんな場所でもやっかいな人はいるものですが、つい最近まで、近所の年配女性(以下、Aさん)にかなり悩まされました。なんとか対策はないだろうかと、手にとったのがこの一冊。 『他人を支配したがる人たち』ジョージ・サイモン著 秋山勝訳 原題は『In shee…

通い猫アルフィーとジョージ

アルフィーシリーズ第3弾『通い猫アルフィーとジョージ』レイチェル・ウェルズ著読了。 アルフィーが人間の男だったら、きっと惚れてます(笑) スーパー・ヒーローじゃないし、かといって間抜けなわけでもなく、とても気持ちに正直で好感がもてる性格は、…

ノーサンガー・アビー

ジェーン・オースティン没後200年を機に、イギリスの10ポンド札がチャールズ・ダーウインからジェーン・オースティンに替わるニュースを聞いて、そういえば彼女の作品をちゃんと読んだことがないことに気づきました。『高慢と偏見』を映像で見たとき(真剣に…

汚染訴訟

久しぶりのリーガル・サスペンス。 ジョン・グリシャム著 『汚染訴訟』(原題:GRAY MOUNTAIN) リーマン・ショックで揺れているニューヨーク。ビッグ・ロー(大手法律事務所)の一つ、スカリー&パーシングの入社3年目のアソシエイト、サマンサ・コーファ…

老人と海

ハーレクインはちょっとお休み(笑)。 思春期に入ったころに読んだ古典作品を再読。当時、「この漁師のようにあきらめない勇気を持ちたい」などと先生受けのする青臭い感想文を書いていたことを思い出してしまいました。 『老人と海』アーネスト・ヘミング…

沢木興道聞き書き

Twitterの禅botでよく引用されている澤木興道老師の言葉が印象深く、どんな方なのかを知りたくて選んだ一冊。 酒井得元著『沢木興道聞き書き』 講談社学術文庫は、『正法眼蔵』で挫折したのもあって読み切れるか心配でしたが、この本は口語体で書かれていて…

「ハドソン川」の奇跡

2009年1月、ニューヨーク・ラガーディア空港を離陸したUSエア1549便が、バードストライクによってハドソン川に緊急着陸したニュースは今も記憶に新しいところです。サレンバーガー機長の冷静で的確な判断によって乗客全員を脱出させたのはまさに奇跡でした。…

怖くて飲めない!―薬を売るために病気はつくられる

つい最近まで週刊誌各誌が「薬特集」を組んでいて「飲んではいけない」「医者でも飲まない薬」などなど、薬を常用している人にとって不安な文言が踊っていました。 北米に滞在していたとき、ドラックストアの調剤コーナーはいつも人だかりで、様々なピルケー…

通い猫アルフィーのはつ恋

『通い猫アルフィーの奇跡』の続編、『通い猫アルフィーのはつ恋』を読み終えました。 通い猫として暮らしているアルフィーが住むエドガー・ロード。その住宅地に新たな家族、スネル一家が越してきます。その家族はちょっとワケアリで近所住民との接触を避け…

通い猫アルフィーの奇跡

関東地方はやっと梅雨明け。 連日、気が滅入る天気に気が滅入るニュース。下降気味な気分をリフトアップすべく、なんかおもしろそうな本はないかと、何かの雑誌にはさまっていたハーパーブックスのDMを眺めていました。 ハーパーブックスといえば、ご存知、…

駄作

新刊コーナーで見つけた一冊。 ジェシー・ケラーマン著 『駄作』(原題:Potboiler) たまには海外作品でもと思い、けっこう分厚い文庫ならさぞかし読み応えがあるのだろうと期待しましたが、中盤から失速してしまい、だらだらとなんとか読み終えました。(…

ワンス・ア・イヤー

買い物帰りに立ち寄ったブックオフの100円文庫の中から選んだ一冊。 林真理子著『ワンス・ア・イヤー』 フィクションですが、23歳から36歳の14年間の著者の自伝的な小説です。時代は80年代。流行りのファッションや店、ゲーム(パックマン)、車載電話などの…

れんげ荘

群ようこ著『れんげ荘』読了。 45歳、独身で実家住まい、広告代理店に勤めるキョウコ。多忙な仕事を終えて帰宅すれば、世間体第一の母親が待っていて、キョウコに文句や愚痴を浴びせる日々。そんな生活から解放されるため、キョウコは仕事を辞めて、都内の古…

下町ロケット

ドラマ化された池井戸潤の『下町ロケット』今更ながら読了。 ドラマを先に見てしまったので、すでにネタバレ。相変わらずタイムリーに話題作を読めてないことを痛感しながらも、原作は原作なりに楽しめました。 半沢直樹シリーズもそうですが、著者の池井戸…

吾輩は看板猫である (文春文庫)

表紙を見ただけで即買いの一冊。 『我輩は看板猫である』 下町の商店街ほど、猫にとって共生できる理想的な場所はないかもしれません。室内飼いと違って、自分の住む店からの出入りは自由だし、自分の飼い主と付かず離れずよい関係を保ちつつ、近所の店主や…

非色

再読したい本の一冊に有吉佐和子著の『非色』があります。 1967年に初版された古い作品で差別がテーマになっています。現在でもヘイトスピーチやら数々のハラスメントなど、差別に関する問題がニュースで取り上げられているのをみると、誰の心にも「差別」は…

論理思考力をきたえる「読む技術」

積ん読本の一冊、本日読了。 『論理思考力をきたえる「読む技術」』 今年初めに大学生の甥っ子と食事したときに、たまたまセンター試験日が近かった流れから現代文の長文読解問題の話をしたことが、この本を買うきっかけとなりました。 書店にある赤本などの…

一日江戸人

NHKで放送されていた『コメディーお江戸でござる』。ご贔屓の女性演歌歌手目当てに母がよく見ていた番組でした。私は私で、勤め先からまっすぐ帰宅するとちょうど番組が始まるというタイミングだったので、夕食をとりながらなんとなく見ていました。 番組の…

沖で待つ

『芥川賞の謎を解く』の巻末にある過去の候補者と受賞者の一覧が見ながら、女性の受賞作品はまだどれも読んだことがないことに気がつきました。アマゾンで芥川賞作品を検索しながら選んだのがこの一冊。 絲山秋子の『沖で待つ』。 『勤労会社の日』、『みな…