むかしむかし、あるところにおばあさんとおじいさんが住んでいました。おばあさんは囲炉裏に鍋をかけてコトコト煮込んでおりました...。
そんな雰囲気が漂う郷土食を紹介した『日本の食生活全集』。
何年か前の東京国際ブックフェアの農産漁村文化協会(農文協)のブースに各都道府県、アイヌの食事、索引巻を含めて全50巻がずらっと並んでいました。
郷土食の原型を昭和の初めに求めて、当時を知るお年寄りから話を聞いて、毎日の食事の献立や冠婚葬祭の膳を再現写真を添えて記録したものです。写真を見ても素朴で地味なメニューですが、食べたことがある人ならばなつかしい味といったところでしょうか。県内でも風土や産業の違いがあるので地域分けして取材しているところもありがたいです。
私の祖父母は新潟県出身。母の作る食事もどこかしら祖母の味を受け継いでいます。おいしいときもあれば、これははずれ、大はずれってこともしばしば。祖母の味を求めて『新潟の食事』を購入。編集、執筆者の略歴を見ると、全員新潟県の出身で大正・昭和ヒト桁生まれの方たちばかり。郷土食を食べて育った世代です。米どころだけあって、笹ずし、押し寿司、笹餅、ちまきなどご飯物はメニュー豊富。のっぺい汁、おぼろ、えごねり、ひたし豆、打ち豆...。母は「なつかしい!」の連発。地元の人以外はなんのこっちゃ?ですよね(笑)
また、料理別とテーマ別(春夏秋冬のおかず、乾物、弁当、正月料理など)全20巻にまとめたのもあります。これも昭和初期に家庭で作られた我が家の味を紹介したものです。
なんだかむしょうに笹ずしが食べたくなってしまいました。