『かもめ食堂』の著者、群ようこの作品。こちらも映画化されました。
出版社勤めをしていた主人公、アキコは母の死後、仕事を辞めて母のお店をリニューアル・オープンさせます。以前の店の面影なく、メニューも一新。日替わりでサンドイッチ、スープ、サラダ、フルーツのみを提供。母がやっていた頃の常連さん、近所の喫茶店のオーナー、アキコが雇ったバイトのしまちゃん、そしてネコのたろ、脇役たちも魅力的です。ほんわかした雰囲気がこの作品の魅力に思えたんですが、後半、ちょっとアキコの感情が重く感じられて、もう少しさらりとまとめてくれてもよかったのではと思いました。映画ではその部分がなかったので、全体としては映画の方が好きかも。
さて、この本の中のたわいのない1シーンですが、しまちゃんがいつも食べているという「頭脳パン」のくだり。
「頭脳パン?」
「小さい頃から頭がよくなるようにって、親によく食べさせられたんです。頭がよくなる成分が入ってると言って。家からの仕送りに、いつも山のように入ってるんです」
頭がよくなる頭脳パンがあるのは聞いたことがあるが、食べている人にあったのははじめてだった。
「効果はあった?」
笑いをこらえながらアキコは聞いた。
思わず、「私も食べてますけどぉ...」と突っ込んでしまいました。
菓子パンを1つ選べと言われたら私は迷わず「頭脳パン」。まさに「頭脳パンLOVE」です。
翌日、しまちゃんが頭脳パンをもってきてくれて、アキコははじめて食べた。固い乾パンみたいなものを想像していたら、どちらかというと菓子パンに近いものだった。アキコはそれをしまちゃんの目の前で食べながら、
「これで頭がよくなったらいいわね。ふふふっ」
と笑った。
材料にこだわって無農薬パンを焼くアキコは「頭脳パン」のような菓子パン類を格下に見ているのかしら...。「頭脳パンLOVE」の私にはそんなふうに感じてしまうのでした。
医学博士の木々幸太郎が『頭のよくなる本ー大脳生理学的管理法』で提唱。通常の小麦粉にビタミンB1を100gあたり0.17mg以上配合した「頭脳粉」を原料とした。これにより、脳の働きが活発になり記憶力や思考力が良くなるとしている。
となっています。今後はボケ防止に食べでもよさそうです。
私がよく食べるのは伊藤製パンのもので、切れ目の入ったコッペパンの中にピーナッツバターやホイップクリームが塗られているよくある平凡なコッペパンです。粒ピーナッツ以外に、期間限定だった「ダブルメープル」と「南国小夏&ヨーグルト」もお気に入りでした。昭和レトロなパッケージもユニーク。学校の購買部の売店によく似合いそう。
最近、近所で「頭脳パン」を扱う店がなくてさびしいです。 I miss「頭脳パン」...。