鈴の文箱

日々の雑感(覚書)、本のこと(ネタバレあり)

ジェーン・エア

 シャーロット・ブロンテの『ジェーン・エア』。1847年に刊行ですから、150年以上も読まれている作品です。

ジェーン・エア (上) (新潮文庫)

Jane Eyre (Penguin Classics)

 この作品は舞台、ドラマ、映画でも数多く演じられていますが、ヒロインのジェーン役を演じる女優さんは美しい方たちばかり。原作では、ジェーンは美人というより、小柄で平凡な女性となっています。お相手のロチェスターは無愛想で気難しい、そして端正な顔立ちではないことは、ジェーンとロチェスターの会話の中にあります。

 'Do you think me handsome?'

I should, if I had deliverated, have replied to this question by something conventionally vague and polite; but the answer somehow slipped from my tongue before I was aware-

'No, sir'

  本来なら礼儀をわきまえるところをうっかり口を滑らせてしまった....。やっちゃいましたジェーン。でも率直な感想ですものね。ロチェスターの顔はハンサムではないと...(笑)。

 私はシャルロット・ゲンズブールの作品が好きなんですが、1983年BBCで放送された作品は原作に近いと思います。


Jane Eyre 1983 Episode 4 (Part 2/3) - YouTube

 ズィラー・クラークはとても小柄で少し老け顏ですが、それが地味な印象を与えていてジェーンに適役です。そして007でおなじみのティモシー・ダルトン演じるロチェスターは家柄の良さを感じさせる所作、表情の険しさやときおり見せる弱さなど、彼のドラマチックな演技で作品を盛り上げてくれます。

 ティモシー・ダルトンロチェスターを見ているうちに、彼に似た男性の写真?いやイラスト?が表紙になっている本をどこかで見かけたような...。記憶を辿っていくとそれは『ハーレクイン』でした。

私なら絶対ブックカバーが必要な表紙です(笑)

塔の中のペルセフォネ (ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル)

臆病な女神 (ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル)

 アマゾンで「ハーレクイン」検索したら上の作品のコミック版も出てきました。日本の漫画の外国語版同様、ハーレクインコミックスの英語版もあるかもしれませんね。

臆病な女神 1 (ハーレクインコミックス)

 カナダの書店でハーレクインのコーナーが大きかったことを思い出しました。ハーレクインはカナダの出版社ですから、当然かもしれません。図書館にもたくさんありました。下宿先のお母さんも読んでましたし、幅広い年齢の女性たちに読まれているんでしょうね。

 時間つぶしに入った図書館で、試しに一冊読んでみようと、表紙がロマンチックすぎないのを選んで、空いてる席に座りました。すると近くに座っている中年女性が「その作品はおすすめよ。私、夢中になって読んだわ」と声をかけてきて、彼女の読んでるのも当然ハーレクイン。「ハーレクイン仲間」と思われてしまって焦ったのか、それとも女性の「ハーレクインLOVE」のパワーに負けてしまったのか、パラパラとめくる程度ですますつもりが、結局、辞書を引きながら3時間近くかけて、半分ぐらい読みました。おかげで官能的な単語やロマンチックな表現は学べましたが...。借りていこうかと思いましたが、表紙が恥ずかしくてやめました(笑)

 その後、日本語で何冊か読んだことがありますが(職場のブレークルームに誰かが寄贈してくれたもの)、ヒーローは富豪、社長、どこかの国の王子様だったりで、暗い過去や不遇な境遇もあって、究極のツンデレ。出会ったころはヒロインに辛くあたったり、意地悪したり...。まるでロチェスターです。

 ヒロインも辛い過去や貧しい状況でありながら、自尊心は失わず、低い立場であっても、ときにはヒーローに反論したり喧嘩したり...。ジェーンに似ています。

 でも、容貌は美男美女。ベタなくらい美男美女設定です(笑)

 事件や事故が起きて、そこでお互いの愛情に気づき、ハッピーエンド。話の展開もどこか似ています。

 このようなストーリーに、母親の存在を色濃く出すと、韓流ドラマになりそうです。

 もし少なからず今日の恋愛小説に影響を与えているとしたら、『ジェーン・エア』は恋愛小説の王道なのかもしれません