鈴の本箱

本のこと、あれこれ(覚書)

人間の関係

 もうすぐ7月。来週は「東京国際ブックフェア」が開催されます。

 2008年7月に行われた「東京国際ブックフェア」で、五木寛之氏の講演を聴きました。講演のお題はこの本のタイトル『人間の関係』。

人間の関係

 作家の講演会はこれが初めてでしたが、とてもいい講演でした。

 そのときにメモったものを読みかえしてみると、印象的だったのが、

母がこうあるべきとか、子がこうあるべきではなく、母と子の関係を見るべきです。夫婦も同様。まず「他人」になることから出発し、他人同士からはじまる関係を見つめること。

 柳は湿った雪でしなって枝が萎えるが決して折れることはない。でも、固い木はしなる(萎える)ことがなく、雪の重さでぽっきり折れる。それを心にたとえ、枝が萎える→心が萎える。でも、心は折れない。折れない心が大切。

  著書「人間の関係」と重なる内容ですが、この著者だからこその説得力があります。「人間」を考えるのではなく、「関係」を考えること。「ウツ」な時代でも、それを「あるがままに受け入れる」柔軟な気持ちと強さを持つこと。変わる時代に変わらないものは、そうして受け入れていくことが大切なんでしょうね。

 

 講演会の余談もおもしろかったです。

 「原稿を取りに来た若い編集者に『しばらく待ってろ』と応接間で待たせていたら、いつの間にかいなくなってしまった。心配して編集部に電話をしたら、しばらく待っていましたが、出てこられないので帰社しましたなんてことを言う。作家が言う“しばらく”というのは、1、2時間はザラであることがわかっていない。」

 とか、

 「最近はワープロで原稿を打つ作家が増えていて、手書きの私や野坂(野坂昭如)は文壇のガラパゴスなんて呼ばれているらしい。」

 とか...。

 会場にいた編集者たちからの失笑も含め、会場に笑いがもれて、あっという間に終了。文章を上手に書ける人は話すのも上手なんだなぁと感心しつつ、男性作家はモテるんだろうななんてことも思った次第でございます。

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