手元にありながら、テーマが重いのでなかなか読めずにいた本。今日は午後から時間がとれたので、一気に読むことができました。
『さよなら、お母さん:墓守娘が決断する時』
真っ赤な装丁にド〜ンっとインパクトのあるタイトルです。
本書では、あるストーリーを母、娘、娘の夫の三つの視点で書かれています。それぞれの言い分をただ書いているのではなく、重くなってしまう母親がどうしてそうなってしまうのかに焦点を当てながら、母と同じことを今度は自分の娘にしてしまうのではないかという世代連鎖や、女性が女性であることを嫌悪する「ミソジニー」についても触れています。
父親については、摂食障害に苦しむ娘のケースを取り上げています。娘が母親との接触を断っていたのに、その母親が突然娘の住まいを訪ねてきた。怒った娘が母親を追い出そうと暴力を振るってしまいます。その状況を知った父親が娘にメールをする。その父親に対して返信した手紙の一部が紹介されていました。母と娘の問題に無関心で、いまになって父親ぶった正論を振りかざすことへの激しい憤りが伝わってくる手紙でした。
家庭においても他人に対するのと同じくらいの心遣いが必要なんですよね。昨日のブログで書いた『人間の関係』の「家族もまず「他人」になることから出発し、他人同士からはじまる関係を見つめること」につながります。
私が家族関係や家族論についての著書に関心があるのは、両親や兄への葛藤があったから。社会に出て自分なりの価値観が確立し始めると、両親や兄弟たちとの考え方や物事を見る視点が違ってくるわけですが、それがやがて心の隔たりとなり、子供のころに傷ついたことと重なって苦痛を伴うようになりました。
長年、自分でどう折り合いをつけていいのか、わかっているようで実はわからないまま。カウンセリングを受けるほどでもない(というかお金がないし)、でもなんとかすっきりさせたい。そんな気持ちをずっと持っていました。
この著書で紹介されたケースは「重い」のひと言につきますが、処方箋となるいくつかの提言は前に進むヒントになります。その中に偶然、過去に私が試して効果があったものが含まれていて、他の提言も今後取り入れてみたいと思いました。