鈴の本箱

本のこと、あれこれ(覚書)

隠れ貧困

 年度が切り替わるこの時期、社会保険料や税金など今年度はどのくらい払うんだろうと気になってしまいます。節約しても出費がかさみ、どうしたものだろうかと思っていた矢先に見つけた一冊。

 

萩原博子著『隠れ貧困』

隠れ貧困 中流以上でも破綻する危ない家計 (朝日新書)

  「貧困」や「下流」のキーワードは若干、食傷気味なんですが、単に不安を煽る内容ではなく、帯に書いてあるようにお金のついての生活習慣を見直そうという内容です。

 

 人生の3大出費のハードルは、住宅ローン、教育費、老後費用。

 定点退職までに住宅ローンや教育ローンが終わっていれば、退職金は老後資金として活用できますが、物価が年2%アップすると想定すると貨幣価値が30年で半分になります。金利が安いときにローンを組んだとしてもやはり負債ですから、50歳までにプラス・マイナス・ゼロに近づけておくことが大事だということです。

 

 第3章『一見リッチな50代を蝕む「隠れ貧困」』は興味深いものでした。

「家計の金融行動に関する世論調査」(2015年)を見ると、年間収入が300万円未満の人の42%は、貯蓄ゼロです。年収300万円から500万円だと、少し減って31.6%になりますが、収入が少ないのですから貯蓄しようにもできないというのは当然でしょう。

 けれど、問題は収入が多いにもかかわらず貯蓄できない人が意外に多いということ。

 年収が1000万円から1200万円もらっている人でも13.5%、1200万円以上でも11.8%が貯蓄ゼロです。

  高収入の人たちが預金を取り崩した大きな要因は子供の教育費、結婚費用の支出が大きいようです。著者がアラフィフ世代向けの女性雑誌編集者から聞いたはなしによれば、アラフィフ主婦は他の世代に比べて超バブリー世代で、貯蓄が苦手。1円、2円とチマチマ節約するのが惨めに思えるとか。一番お金をかけるのが子供で次が自分だそうです。そういう主婦をターゲットにした雑誌が『Very』や『Ecla』あたりでしょうか。団塊の世代や今の若い人たちは節約が身についているというのですが、どうなんでしょう。

 創刊110年の『婦人画報』が存続していることを考えれば、今のアラフィフに限らずリッチ志向な人はどの世代にもいるように思えます。青春時代にバブルだったか否かではなく、金銭的な習慣が身につけているかどうかは、その人のとりまく環境に思えます。もともと親が派手好きだったり見栄っ張りだったら、その子供たちもなんらかの影響を受けているかもしれないし、節約をモットーとしている人ならバブルに浮かれることなく貯蓄に励んでいたと思います。バブル期を享受したのはアラフィフ世代だけに限ったことではないのですが、やたらとバブリーと言われてしまう世代ですね(笑)

 そんな時流に乗り損ねていた私ですが、カナダでの貧乏学生生活をきっかけに出納帳をつけ始めました。持参した金額で生活するカッツカツの毎日でしたが、買ったものをすべて記録することで「チリ積も」な無駄遣いに気づけたことは大きかったです。その習慣は帰国してからも続けていました。

 帰国後、それでもこれといって使ったわけでもないのに貯蓄に回らないと実感したのが、勤めていたときのランチ代とスタバ代。再就職し始めたころ、丸の内とはいえまだまだ千円以下のランチはいたるところにありましたが、東京駅リニューアル工事とともに、丸の内界隈のオフィスビルが次々と新しくなり、レストランもリニューアル、そして値段もリニューアル。チェーン店のレストランですら、新しいビルの中では若干高め設定されて、千円以下のランチメニューはほとんど姿を消してしまいました。

 ランチタイムは1時間。高くてもオフィスの近くで済ますしかないわけで、これが毎日となると目にあまり、同僚たちとのランチはやがてコンビニ弁当やおにぎり、菓子パン、手作り弁当とシフトしていくわけです。スタバも毎年のように10円単位で値上がっていくものの、外資系だったこともあって、上司や同僚と息抜きしようと近場のスタバに行く。断ることもできますが、行って戻ってくる間に交わされるコミュニケーションは結構大事でしたので、これは社交費と割り切りましたが累計するとかなりの額。今ならコンビニのコーヒーもアリでしょうが、それでもチリも積もればかなりの出費となりそうです。

 また、著者いわく、出張の経費も厳しくなれば、自腹で負担しなければならないものが増えてくるのも確かでしょう。駅近のホテルではなく少し離れた格安ホテルに宿泊予定、その日に限って台風直撃、大雨で仕方なく自腹でタクシーというのもありえます。

 教育費も年々大きくなっています。受験も終わり新入学を迎えるこの季節、毎日のように学習塾のチラシや新聞広告を目にします。有名私立進学校に通っている生徒でも進学塾に通っているのは普通と言っていいのかもしれません。大学に進学しないで手に職をつけて職人に...といっても、コックもパティシエも美容師も海外研修のある専門学校に通う時代ですから、それなりに費用はかかるわけです。

 そういったお金の問題をどうすればよいのかをQ&Aでまとめています。

 日常生活における出費、教育や住宅のローン、老後資金など特に目新しいと思えたものはありませんでしたが、ありきたりなことを実践できるかどうかは別のはなし。

 食費や衣料、光熱費を抑えても、社会保険料や税金が毎年のように上がっていますし、医療費も病気によっては保険適用外もありえますし、デフレ脱却となれば物価もジリジリ上がってくるでしょう。「自分にご褒美」だなんて言ってる場合じゃないですね(反省)。

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