以前、『食う寝る坐る永平寺修行』を読んで雲水さんたちの修行の様子に驚きと感銘を受けたことを書きましたが、禅宗について疎い私は「禅=永平寺の曹洞宗」と思い込んでしまいました。
その後、映画『禅 ZEN』や禅の書物から臨済宗や達磨宗など禅宗にはいくつかあることがわかり、それならば臨済宗の雲水さんはどのような修行しているか...。興味がわいたものの専門書籍は私にとって未だ爆睡本(笑)。わかりやすい本はないものかと「禅」をキーワードに検索してみると、「禅文化研究所」という出版社を知ることができました。
先日行われた「東京国際ブックフェア」に出展されていたので、ブースに行くと、『雲水日記』が平積みされていました。
手にとってパラパラみていたら、「今もこのような修行を行っているんですよ」と眩いばかりに刈り上げたスキンヘッドの方が穏やかに声をかけてくださいました。初版は昭和57年ですが、今年9月に新装されてB6版で出版されたそうです。
<旧版>
<新装版>
見開きで左に挿絵、右にわかりやすい文章で、入門から僧堂の歳時記までの構成になっています。(こちらのサイトで挿絵がいくつか見られます→禅文化研究所 新装版 雲水日記 -絵で見る禅の修行生活-)
巻末の用語解説がおもしろいです。
挨拶の挨は「迫る」、拶は「切り込む」こと。師匠と弟子との問答のやりとりのこと。今では日常語にもなっている。
迫り切り込む...。そう思うとなんだか挨拶にも気合がはいりそうです。
さて、余談ですが、ここのブースでこの本を購入したら、東京国立博物館で10月18日から始まる特別展「禅ー心をかたちにー」の招待券をいただきました。せっかくなので、昨日出かけました。
5〜6年ぶりの上野公園はスタバができちゃって、ずいぶんとオシャンティーになりましたね(笑)。トーハクの本館はドーンと構えていて、個人的には懐かしさもあって落ち着く場所でもあります。特別展はこの本館ではなく、左奥の「平成館」で開催されています。
展示内容は、禅宗の成立から順を追って歴代の禅師たちの肖像画や墨跡を紹介しています。
今回、「禅トーク」という催しでお坊さんのお話がありました。20分程度のものですが、禅語にからめたエピソードなどわかりやすいお話でした。
随所作主 立処皆真
「いつどこであっても、いかなる場合でも主体性を持って行動すれば、そこに真理がある」という意味だそうです。印象的に残った禅語です。
お話を聞きながら(ああ、ここでも「主体性」なのね...)と思ったのは、良寛さんやマザーテレサなどの偉人伝や、佐藤優や村上龍のトークなどもこの「主体性」が必ず出てきます。「自主性」ではなく「主体性」。人から言われなくてもやる(自主性)だけでなく、自分で考え行動し責任を負うことが大切だというわけです。日常生活においてそうした心がけを忘れないようにしたいものです。
おみやげグッズもいろいろありましたが、お香を選びました。箱に描かれている臨済義玄像、父方の祖父に妙に似ていて...(笑)。いかついパッケージですが、沈香のいい香りです。