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鈴の本箱

本のこと、あれこれ(覚書)

小さな愛の願い

 サクサク読めているベティー・ニールズの作品。

 続いて読んだのは『小さな愛の願い』。なんだか昭和のアイドル歌手が歌いそうなタイトルですが、原題は『Only by chance』。直訳すると「ただの偶然」とか「偶然なだけ」って感じですかね。

小さな愛の願い (ハーレクイン・イマージュ)

 ストーリーはシンデレラストーリーです。幼い頃に両親と死別して養護施設で育ったヘンリエッタは、病院の雑役とオフィス清掃の掛け持ちをしながら慎ましい生活を送っています。

 ある日、夜遅く、仕事を終えて病院の通用口を出たとき、仔猫を拾い上げて立ち上がろうとしたときによろめいて、誰かの足を踏んでしまいます。あわてて謝りながら振り向くと、背が高い男性がいて、あいにく暗くて顔がよく見えません。少し言葉を交わしただけでその場を去ります。その後、作業療法科で仕事していたヘンリエッタはその男性の声を再び聞くことになります。そして、彼が脳外科医のアダムであることを知るのでした。もちろん、「医術の天才」と評されている脳外科医です(笑)。

 さて、翌週、町の診療所に手伝いにきていたアダムのところへ、高熱で倒れたヘンリエッタが運ばれてきます。そこで、アダムはヘンリエッタが仕事を掛け持ちしていること、そして彼女の家まで送ったことで質素な生活ぶりを知ることになります。

 回復に向かっているヘンリエッタですが、休んでいてはクビになると思い、少し無理をしてオフィス清掃の仕事にいきます。凍てつく寒さの中、帰路に向かうヘンリエッタを仕事帰りのアダムが見つけ、激怒し、そんな彼女を見かねて、新しい仕事を世話することになります。

 アダムの行動は親切心からと思っているヘンリエッタ。また、アダムも勤勉な彼女のとりまく環境を変えてあげようというボランティア精神のようです。新しい職場で少しずつ垢抜けていくヘンリエッタ、そしてときどき彼女の職場を訪ねるアダム、二人の気持ちに変化が訪れるのはかなりスローペースで描かれています

 ベタなシーンといえば、ヘンリエッタが窮地に立たされるシーンで必ずアダムが現れるわけで、まさに原題どおりの「ただの偶然」が起きます(笑)。

 ベティの作品はこれで3冊目ですが、共通しているのは、この二人をとりまく人たちが、実に協力的なんですよね。ライバルも実に聞き分けがいいというか...(笑)

 この作品もデアドラという女性がライバルとして出てきます。

「あなたには奥さんが必要なのよ、アダム。わたしたちならとてもうまくやっていけるわ。わたし、あなたの暮らしに合わせるつもりよ」

 と自信満々なわけです。ところが...。

 「この際、はっきり言っておくけど、どんな事情があっても、きみを妻にするつもりはない。それに、きみを妻にしたがっていると誤解されるようなことをした覚えもないんだ」

 とキッパリ言い放つわけです。

 で、当然デアドラはキレるんですが、これがまた...

「あなたが地球上で最後の男性だったとしても、絶対にあなたとなんか結婚しないわ!」

 と大仰なセリフをのたまって、あっさり退場。もうちょっと悪女になってほしかったです(笑)

 そしてアダムの家の家政婦さんや、アダムの友人でもあり、ヘンリエッタの職場の主人がこぞって「厄介払いできてよかったわね」なんて言うわけです。

 恋心を徐々に募らせていたヘンリエッタはデアドラの存在があって気持ちをずっと押し隠していたところへ、職場の主人がデアドラが振られたことを世間話風にしゃべったりして状況をわからせてあげるんですよね。こうして周囲の人たちが二人をハッピーエンドに導くのもただの偶然なのでしょうか(笑)。

 とはいえ、みんなに祝福されてのハッピーエンドは、たとえベタでも読後感はいいものです(笑)。

 

 

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