鈴の本箱

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通い猫アルフィーとジョージ

 アルフィーシリーズ第3弾『通い猫アルフィージョージ』レイチェル・ウェルズ著読了。

通い猫アルフィーとジョージ (ハーパーBOOKS)

 アルフィーが人間の男だったら、きっと惚れてます(笑)

 スーパー・ヒーローじゃないし、かといって間抜けなわけでもなく、とても気持ちに正直で好感がもてる性格は、平凡かもしれませんがスッと受け入れられる魅力があります。

(以下ネタバレ)

 前作『通い猫アルフィーのはつ恋 』で出会い、ガールフレンドとなったスノーボールとはラブラブなアルフィーですが、スノーボールの飼い主ティム一家が仕事のためにエドガー・ロードを離れることに....。

 ハートブレイクのアルフィーに近所の猫たちが励まします。それでも大好きなイワシにも見向きもせず、すっかり元気をなくした姿を心配したクレアは、ある日子猫のジョージを引き取ります。

 生後3ヶ月のジョージが目の前に現れ、アルフィーは面食らいます。しかし、新しい家に来たばかりで、しかも毛繕いすら自分でしたことのない幼いジョージが自分を必要としていることに気づくのです。

 スノーボールのことを考える暇がないほどジョージの世話で忙しくしているうちに元気を取り戻したアルフィージョージから「パパ」と呼ばれ父性に目覚め、友達のタイガーがママ役を引き受け、ジョージの育児に参加します。

 やがて、エドガー・ロードの住人たちの様子にも気を配れるようになります。今回もまた住人たちの抱える問題も様々。

  • ジョナサン&クレア夫妻は養子の問題
  • マット&ポリー夫妻はマットのリストラとポリーの復職による夫婦間のひずみ
  • トーマス&フランチェスカ夫妻は事業拡大で多忙を極める夫と家族のすれちがい
  • クレアの友人ターシャは夫デイブの浮気が発覚

 アルフィーにとって通い先でもある大切な家族の間が少しずつ冷え込んでいく様子が心配でなりません。一方、近所では猫失踪の事件が相次ぎ、猫たちの間ではその話題で持ちきり。そこでアルフィーは、問題解決の計画を立て実行しますが、とんでもない事態を引き起こします。ピンチに見舞われますが、それをきっかけに事態が好転していきハッピーエンド。

 今回、アルフィーは愛情について学びます。

 人間はペットの親代わりで、ペットは人間の親代わりなのだ。愛情にルールはない、お互いに相手の面倒を見るだけだ。

 これは人と動物とともに生活する上で大切なことですよね。相手の面倒を見るのは、実は根気のいることでもあります。

 スノーボールは初恋だったから、さわやかで生き生きした愛だったけど、お互いにあまり責任は感じてなかった。まだ少し恋しいけど、世界中のイワシをもらってもあのころに戻りたいとは思わない

 それと同時に、永遠につづくものはないことにも気づいた。だから幸せはつかめるときにつかまないといけない。自分にとって大切なものをしっかりつかみ、大切に育む必要がある。大切な相手に日々感謝する必要がある。

  アルフィーが失敗したとき、落ち込んだとき、戸惑ったとき、いつもそばにいてくれたタイガーの存在の大切さに気づきます。

 自分では若いつもりでいても、お互いこれからどんどん年をとっていくんだから、目の前にあるのに気づかなったものに、きちんと目を向けようと思うんだ。

 キラキラしたものを求めていたアルフィーが、身近で大切なものに気づいたことを語る最終章は、干からびつつある私の心に響きました。

 猫たちの存在によってエドガー・ロードの人たちの心の機微が描かれたハートフル・ストーリーのアルフィー三作品。どの作品も私にとって日常で忘れていた大切なものを思い出せてくれる優しいリマインダーとなりました。