鈴の本箱

本のこと(ネタバレあり)、日々の雑感(覚書)

ジェイン・エア 5(ブロックルハースト)

 

ジェイン・エア(上) (岩波文庫)
 

  さて、このローウッド養育院はブロックルハースト家によって再建されたもので、リード家でジェインが会ったブロックルハースト氏は学校の経営者であり財務管理者でもあります。

 ジェインがローウッドにきて三週間。慣れない規則や勉強に緊張し、質素な食事と衣服で寒さや空腹に耐えるような生活を送っていたそんなある日。石板を手に計算問題に取り組んでいたとき、ブロックルハースト氏がやってきて、先生と生徒全員が一斉起立して迎えます。

 ブロックルハースト氏がここで行ったことは、

  1. テンプル校長先生に対しての注意
    ・裁縫に使う糸は一人一本にすること
    ・ウールの靴下が干してあるのを調べたら繕ってなかったのがあった
    ・洗濯した襟カラーを週に1本のところ、2本使う生徒がいた
    ・食事がひどかったときに校長の判断でチーズとパンの軽食を出したことは、氏の教育方針である頑強で忍耐強く、克己心のある人間を育てることに反する

  2. ジュリア・セヴァーンという生徒の髪が巻き毛であることが許せず、理髪師を呼んで束ねた髪を切れと命令。また髪型に少しアレンジを加えた生徒も同じ

  3. うっかり石板を滑らせて落としたジェインに、ブロックルハースト氏が気づき、
    ・ジェインは前に出て椅子の上に立たされる
    ・リード夫人から聞いた偽りのジェインの性格や行動を全員の前で発表
    ・その発表の後、十分の休憩が入り、さらに誇張した発表は続き、最後に下した命令は、
「この子をあと三十分間、その椅子に立たせておくこと。そして、今日は一日、誰もこの子と口をきかないように」

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  テンプル校長は注意されたことについては、2本の襟カラーを使った生徒は親戚のお茶に招かれたので自分が許可したこと、ひどい朝食でとうてい食べられず、昼食までひもじいままにできなかったと弁明、ジュリアの巻き毛は天然であり、髪を切ることには異議を示します。

 しかし、ブロックルハースト氏は
 (略)しかるにここにいる生徒たちの頭には、虚栄心そのものによって編み上げられたものが載っているではありませんか。だから、繰り返しますが、そんなものは切らねばならんのです。
 その場にはブロックルハースト夫人と二人の娘(十代半ば)たちがいたのですが、娘たちの優雅な帽子の下には念入りにカールした髪が下がっているという体たらく。あなたの娘たちも虚栄心そのものじゃないのかい!と突っ込みたくなります(笑)
 
 原作ではジュリア・セヴァーンと他の生徒が「髪切り」の刑が下されますが、映像化されたものは様々です。
 
 ジュリア・セヴァーンと他の生徒らしき生徒が立たされ、「髪切り」の刑を言い渡される(1983):これが原作に近いかな

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 原作とは異なり、生徒たちの前でジェインまたはヘレン(もしくは二人とも)が、ブロックルハースト氏に髪を切られるというパターン。
 

ジェインだけ(1970):スキャチャード先生に腕を抑えられて泣き叫ぶジェイン

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ヘレンとジェイン(1996):ヘレンが天パーで、そんな彼女をスケッチしていたジェインも一緒に罰を受ける

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 ↑ ジェインの「切りたきゃ切りなさいよ」と顎を突き上げてるところが好き(笑)

 

ヘレンだけ(1943):エリザベス・テーラーが演じています

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 ジェインやヘレンを使った方が効果的なのかもしれませんが、そうなると、ローウッド養育院の規律の厳しさは二人だけに向けられているような印象を受けます。

 原作のようにその他の生徒たちにも厳しいシーンが盛り込まれることで、この学校の陰気な雰囲気や、ブロックルハースト氏のイカレた教育方針が際立つように思いました。

 ブロックルハースト氏のような最もらしい訓示をたれてはいるものの、ただの個人的な思考が根底にあって客観性に欠ける人は時代を超えても存在しますよね(笑)