鈴の文箱

日々の雑感(覚書)、本のこと(ネタバレあり)

愛着障害 -子供時代を引きずる人々ー

 『母という病 』『父という病 』を読んだときに知った「愛着障害」という言葉。

mtwood.hatenablog.com 

 その「愛着障害」に焦点を当てた一冊。

 『愛着障害 -子供時代を引きずる人々ー』岡田尊司

愛着障害~子ども時代を引きずる人々~ (光文社新書)

 

 「愛着とは」から始まる入門書的な内容でわかりやすく読みやすい。どのような愛着パターンが自分にあてはまるかをチェックするのもおもしろい。

 「発達障害」が子供のみならず大人にも見られる背景には、かなりの割合で愛着問題が関係しているという。愛着というと親子関係が注目されるが、親に限らず、「特定の人との安定した関係が重要」というわけである。

 児童養護施設などで育った子供が愛着障害を抱えやすい理由は、絶対的な愛情量の不足という以外に、複数の養育者が交替で関わるという事情にもよる。
 同居する祖父母や親せきがかわいがってくれるからというので、母親があまり可愛がらなかった場合、後年、精神的に不安定になるということは、しばしば経験するものである。

 保育園や祖父母に預けることを否定しているのではなく、任せっぱなしにしていないかということだろう。

  解決策として、「安全基地」を確保することを挙げている。

 よい安全基地とは、

1 安全感を保証する:一緒にいても傷づけられることがない
2 感受性、共感性がある:何を感じ、何を求めているかを察し、共感できる
3 応答性がある:相手が求めているときに応じてあげられる
4 安定性がある:一貫した対応ができる
5 なんでも話せる:ためらうことなく心に抱えていることをさらけ出すことができる

  愛着障害を抱えている人が、その「よい安全基地」を探し求めるのは至難の業に思える。そもそも、愛着障害のある人は、人選をミスる。悪意ある人を信用したり、そういった人に依存してボロボロになるわけだから、この5つの項目をクリアできる人に巡り会えるのは稀ではないだろうか。

 過去の傷と向かい合うとか、幼いころの不足を取り戻すなど、私も試したことはあるが、かえって忘れていたことを思い出すことで辛くなったりする。

 こういった著書は原因究明には役立つが、解決策がピンとこない。おそらく、専門医やカウンセリングを受けろということなのだろう。

 個人的に一番効果があったのは、美輪明宏の言葉。

せめて自分ぐらい、自分を褒めて認めてあげないと自分が救われない。自分の味方になれるのは自分だけ。

 自分で自分を褒めるという自画自賛療法(笑)。これが結構、効果的。