美術館や博物館は、東京オリンピック以降のインバウンドが増加で、すっかり足が遠のいてしまった。
三菱一号館美術館の無料ご招待券をもらった。丸の内に勤めていた頃は、周辺の店でランチしたことはあるが、美術館に入ったことがなかった。今日は大学病院の診察が午前中で終わるし、平日で空いているであろうと期待して行くことにした。
現在、開催中の展覧会は、
1900年ごろのカフェをテーマにモンマルトルやムーラン・ルージュに集まる画家たちの作品を展示。
世界史に疎い私は、説明パネルを読みながらの展示鑑賞である。説明パネルが小さく、しかも薄暗く、さらに多くの作品が撮影OKだったので、スマホ撮影の方々に気を遣いながらも必死に読んだ(笑)
そして今更ながら、ムーラン・ルージュの赤い風車の歴史を知る。廃れつつあった「風車」を赤く塗ってシンボルにして劇場(キャバレー)にしたのが、ジョゼフ・オレール(Joseph Oller)とシャルル・ジドレール(Charles Zidler)の実業家。
「風車=オランダ」のイメージしかない私は、おフランスにもあったのが意外に思うほど、おフランスにも疎い。
ムーラン・ルージュを描いたロートレックやルノワールは有名で知っていたが、ゴッホやユトリロの描いた風車は廃れた感じがあの中で繰り広げられる華々しい印象とは対照的だった。

また館内では、当時のフィルムが流れていた。Youtubeでも一部が見られる(カラーになってる)
この馬車から降りた男女のグループはパレードを楽しんだ後、テーブルにつくのである。フレンチ・カンカンのダンサーの一人を膝の上に座らせて一緒に飲み、また別の男性は札束を見せびらかす。その後、大勢が集まっているホールのテーブルにつくが、その中の一人酔っている男性が机の上に立ち上がり、また後ろのテーブルに座っているカップルの女性に抱きついたため、そばにいた男性やウェイターたちが止めに入って大騒ぎになるのである。まさに「乱知気パーティ」そのものだった。
そんなムーラン・ルージュだが、芸術家たちにとっては絵心が刺激されるものばかりだったのだろう。この頃は、演目のポスターが注目されて、リトグラフの時代でもある。
ロートレックの『ムーラン・ルージュ、ラ・グーリュ』

私が興味を引いたのは、ジュール ジェレのリトグラフ。
左:「ロータスの花」フォリー・ベルジェール座
右:「ルイーズ・バルティ公演」アルカザール・デ・テ座

赤青黄の3色を用いた多色石版画(リトグラフ)の技法を確立したという彼の作品。よく見ると、描かれた線は写真では黒に見えるが、深い藍色で、赤も少し黄色がかった朱色に見える。赤青鉛筆の色と似ているせいか、懐かしみのある色である。実際の作品を見たから気付けた点かもしれない。
もう一つ気になったのは、ロートレックが描いた『悦楽の女王』

ヴィクトール・ジョーズの連続小説『社交動物園』の宣伝用ポスターとして1892年に制作されたリトグラフ。
『社交動物園』。フランスの風刺が効いてるようなタイトルで洒落てると思った。どんな小説なんだろう、読んでみたい。
気づけば2時間近く見学。ムーラン・ルージュの歴史にちょこっと触れただけでも大収穫だった。