鈴の本箱

本のこと(ネタバレあり)、日々の雑感(覚書)

ジェイン・エア 8(ベッシーとの再会)

 

ジェイン・エア(上) (岩波文庫)
 

  ヘレンと永遠の別れをしたジェイン。ローウッドに蔓延していたチフスは次第に終息に向かっていきますが、多数の犠牲者が出たために世間の注目を集めてしまい、原因が調査されることになりました。今なら「調査委員会」が立ち上げられた感じですね。

 調査の結果、以下の原因が考えられるとされました。

  • 不健康な立地(湿気の多い土地)
  • 質・量ともに生徒たちの貧弱な食事
  • 炊事に使われていた水に塩分と臭気があった
  • 粗末な衣服と建物設備

  この結果は、ブロックルハースト氏を撃沈し、学校や先生、生徒たちにとっては有益なものとなり、学校改善に向けて動き出します。

  •  州内の富裕層から多額の寄付
  •  規則は刷新
  •  生徒の食事や衣服の改善
  •  財務監理は委員会に委託

  ブロックルハースト氏は創設者の縁故者であり、富裕層の一人ということで、とりあえず財務担当の地位に留まりますが、今までのような独断は許されず、人々の協力を仰ぎ、そして役割を分担することとなります。 

 これによってローウッドは立派な施設に再生されます。ジェインは生徒として6年間、単調な生活とはいえ、教育を受けられる環境、大好きな先生たちを喜ばせたくて勉強に励み、主席となり教職を得ます。このジェインの生活ぶりからも、ブロックルハースト氏がすっかりおとなしくなったのがわかります。

  そして教師になって2年後、テンプル校長がネイスミス牧師と結婚することになりローウッドを離れることになりました。ローウッドでの生活に光を見出せたのはヘレンとテンプル校長の存在があったからこそ。その二人がいないローウッドで生活するジェインの気持ちに変化が起きるのは自然なことだと思います。

 休暇すらローウッドで過ごしていたジェインは18歳。何か変化を求めて、新しい職を探すことにします。そしてヘラルド新聞に家庭教師の広告を出しました。

 一週間後、ソーンフィールドのミセス・フェアファクスから10歳ぐらいの少女の家庭教師をぜひお願いしたいとの手紙を受け取ります。そして必要な書類を整えて返信し、二週間後にソーンフィールドの家庭教師としてスタートすることが決まります。

 

 出発の前日、ゲイツヘッドで子供の世話係だったベッシーがジェインを訪ねてきます。長いものに巻かれていたベッシーですが、時折見せる優しさは偽物ではなかったのは、顔を見たとたん抱きついてキスをしたジェインの態度からそう思います。ベッシーは御者のロバートと結婚し、二人の子供に恵まれて、今は屋敷を離れ、門番のロッジに住んでいます。

 ベッシーはリード家の近況を話し始めました。

  • 長女イライザ
    ジェインより頭一つ分背が伸びた
  • 次女ジョージア
    ジェインより二倍の横幅があり、とても綺麗になった
    昨年の冬、リード夫人とロンドンに行ったときにチヤホヤされ、ある青年貴族に見初められたが、先方の親戚に結婚を反対され、二人は駆け落ち
    しかし、イライザに見つかってオジャン(イライザの妬みに違いないとベッシーは推測)それ以来、この姉妹の仲は険悪
  • 長男ジョン
    大学に行ったが落第。人によっては彼をハンサムだというが、ベッシーから見ると背が高く、唇が厚い。
  • リード夫人:恰幅もよく、元気そうな顔はしているが、ジョンの素行と金遣いの荒さに心中は穏やかではないだろうとベッシーは見ている

 ベッシーのレポート力に残念感が...。イライザが好きではなさそうですね。背が伸びた、ジョージアナに嫉妬した、だけです(笑)

 ジョージアナの「横幅ありとても綺麗」。「綺麗」を原作では”handsome”と表現されていて、Oxford dictionaryによれば”(of a woman) striking and imposing rather than conventionally pretty” 。ジョージアナは横幅があってかわいいというより魅力的ってことですかね。太り気味のレディガガをイメージしてしまいました(笑)

  サイコパスのジョンは、ジェインをリンチにあわせていたころは太っていたのですが、大人になって痩せたかどうかはベッシーは触れていません。背が高く唇が厚い白人は見たことがないのでイメージできず、なぜか思い浮かんだのはサザエさんに出てくるアナゴさんでした(笑)

 f:id:mtwood:20180507220803p:plain

 そして、ジェインを訪ねた理由ですが、ここで伏線が張られます。

 映像作品でこのシーンがあまり印象に残らないのは、幼少期のジェインのシーンが簡単にまとめられていたせいかもしれません。原作ではジェインの幼少期にエア家について説明されているので、ここでのベッシーの話が繋がります。

 BBCのテレビドラマ(1983)では、このシーンはほぼ原作どおりに演じられていました。

f:id:mtwood:20180507225332p:plain

 ベッシーはジェインの父親の親戚について何か便りをもらったかを聞きますが、もちろん答えはノー。リード夫人が教えるわけがない。夫人の毒ぶりは半端ない。

 7年前に、エアと名乗る人がゲイツヘッドに来て、ジェインに会いたいと申し出たが、50マイル離れたローウッドにいると夫人から聞かされ、がっかりされたようすだった。マデイラにいるため、乗船予定の船が翌日あたりにロンドンを出るからゆっくりできず、帰ってしまわれた。

 ベッシーは、その立派な紳士はジェインの父親の兄弟ではないかと思っていて、エアの家系は貧乏で卑しい身分だとリード夫人は言っていたが、家柄はリード家に劣らないのではないかと見ていました。ベッシーの洞察力がどの程度かは定かではありませんが...。

 二人はその後は昔話に花をさかせ、翌日、ベッシーは帰宅の路へ、そしてジェインはソーンフィールドへと向かいます。