鈴の文箱

日々の雑感(覚書)、本のこと(ネタバレあり)

一日江戸人

 NHKで放送されていたコメディーお江戸でござる』。ご贔屓の女性演歌歌手目当てに母がよく見ていた番組でした。私は私で、勤め先からまっすぐ帰宅するとちょうど番組が始まるというタイミングだったので、夕食をとりながらなんとなく見ていました。

 番組の最後に杉浦日向子おもしろ江戸ばなし」というコーナーがあって、前半のお芝居に絡めて江戸文化の紹介をわかりやすく説明していて、そのときに杉浦日向子さんを知ったのでした。

 転職をした中で勤め先として一番長かったのは大手町で、日本橋や神田界隈は会社帰り寄り道するおきまりのエリア。杉浦氏が番組でそのエリアを取り上げてくれると、新たな気持ちで再び寄り道するという感じでした。

 にこやかに説明してくれた杉浦氏を偲びつつ、楽しく読める一冊です。

一日江戸人 (新潮文庫)

 漫画家だったこともあって、イラストも楽しいです。

 江戸の色男や美人の基準や、お相撲、屋台や銭湯の文化、長屋の生活、縁起担ぎなど、読みやすい文章とイラストでわかりやすくなっています。江戸時代の銭湯に男性の除毛があったとは驚きでした。江戸っ子が風呂好きだったことは、現在も都内に健在している銭湯の数を見ても納得できます。「垢抜ける」の語源なんですね。また、春画や意匠(文様)など上級編として紹介されています。読了後、江戸風情が残る場所を訪れてみたくなりました。