鈴の文箱

日々の雑感(覚書)、本のこと(ネタバレあり)

わたしは猫の病院のお医者さん

 猫のストーリーを読んだせいなのか、飼ってもいないのに「猫」がマイ・ブームとなっています。

 「かわいい〜」とか「癒されるぅ〜」と引き寄せ本に目が行きがちですが、一方で猫の野生的な一面といいましょうか、生態や行動についてはあまり知りません。「猫可愛がり」なんて言葉もありますが、猫も動物。ここは獣医さんの著書を読んで少しは知識を得ようと選んだ一冊がこれ。

 『わたしは猫の病院のお医者さん』南部 美香著

わたしは猫の病院のお医者さん

  著者は現役の猫専門の獣医です。この本は1999年に出版されたもので新刊ではないのですが、彼女が獣医として、アメリカのキャット・ホスピタルでの研修期間を含めた猫と飼い主とのエピソードが紹介されています。

 病気のケースばかりではなく、恋の盛りの時期、出産、子猫、老猫に対するケアや飼い主との関係など、獣医の視点で書かれているので、「猫」に対して客観視できる内容だと思いました。

 

 この本を読み終えたとき、子供の頃に住んでいた団地にいた野良猫を思い出しました。そこには多くの野良猫がいて、その中で近所で評判のボス猫の白いオス猫がいました。我が家は1階で、母がベランダに漬物桶を置いていたらその白猫におしっこをひっかけられたことがありました。お隣の家ではベランダの竿を掛けるフックに掛けてあった鳥カゴの中でやっと孵ったジュウシマツのヒナが全滅。3階のベランダではセキセイインコがわずかな羽を残して消息不明。(当時、こういった小鳥や金魚を飼う人が多かったんです。)

 商店街の魚屋さんは荷下ろしのときに新鮮な鯖を盗まれ、八百屋さんは裏に積んでいた白菜の葉をかじられて売り物にならなくなり、牛乳屋さんは裏口に納品された三角パックの牛乳(昭和生まれならご存知かも)をケースの隙間からかじったのかひっかいたのか、とにかく牛乳がだだ漏れしてるところに数匹の野良猫が集まってペチャペチャピチャピチャ...。おしゃべりに夢中になっているおばさん(幼馴染のお母さん)の自転車のカゴからちょっと顔を出していたソーセージを失敬したりと武勇伝は数知れず。

 ある冬、ベランダのドアがきちんと閉めてなかったのか、例の白猫が我が家にいつの間に侵入し、こたつに入り込んでいたようでした。兄も私も部屋にいたのですが、買い物から帰ってきた母が冷えた足を温めようとこたつに入ったとたん「ンギャァ〜〜〜〜」と母と猫の悲鳴。「部屋から出ちゃだめ!」と母に言われ、部屋のドアを閉めて事の成り行きを聞いてると、逃げ回る白猫を母はホウキを持って玄関まで追い詰めて外に出そうとしたものの、白猫はなぜか玄関脇を過ぎて風呂場へ逃げてしまいました。当時の風呂釜は古いタイプで下に10cmほどの隙間があってそこに隠れてしまったんです。漬物を台無しにされたこともあって母はキレまくり。ここで恨みを晴らすがごとくホースを持って水攻め。ところが白猫より母の方がびしょ濡れ。すばしっこい白猫は風呂場の窓から外に逃げてしまいました。

 商店街の近くだったので、八百屋さんが風呂場の窓から飛び出した白猫をちょうど見たらしく、翌日、買い物にいった母に「お宅もやられたねぇ。この間はあっちの棟がやられたらしいよ。魚屋もうちもあちこちで悪さしてて、今度つかまえたら三味線屋に売り飛ばしてやる」と息巻いていたとか。おそらく母も激しく同意したと思われます(こわっ)。

 私の猫の第一印象はこの白猫です。田舎に住む大叔父の家にも猫がいましたが飼い猫ではなく通い猫だったのであまり印象がありません。ところが、この本を読み進めていくうちに猫の行動や生態はロールモデルといってもいいほどまさにこのボス猫なんです。

 恋の季節になれば、自分のテリトリーに侵入する猫に容赦なく喧嘩売るし、ベランダに干してある温かい布団の上に平然と座ってノミを残しておくし、冬の日差しを受けて温まったピカピカに磨いだ車のボンネットに足跡をペタペタつけて昼寝するし、パタパタと羽を動かすカゴの中の小鳥たちは彼にとって絶好のおもちゃ&食事というわけです。これらは猫本来の姿とか...。

 それでも嫌う気にはなれなかったのは、以前、ブログで触れた茶トラのクーガーのような猫と人とのよい関係を見てきたからかもしれません。

 そういえば、「トリビアの泉」でお魚くわえたドラ猫はどのくらいの大きさの魚をくわえられるかという実験がありましたっけ。ここに出てくる白猫、尾っぽがもっと短ければ当時の白猫そっくり。子孫かしら...と思いつつ、動画を楽しんでます(笑)


トリビアの種 「サザエさんのお魚くわえたどら猫」 HD完全版