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鈴の本箱

本のこと、あれこれ(覚書)

愛は深く静かに

 ベティ・ニールズ7冊目読了。

 『愛は深く静かに』

愛は深く静かに ベティ・ニールズ選集 8 (ハーレクイン・イマージュ)

 原題は「The Quiet Professor」

 「寡黙な教授」というタイトルの通り、今回のヒーロー、オランダ人のヤケ・ファン・ベルフェルトの職業は病理学部の教授で、医師でもあり、そして母国オランダでは男爵という設定です。彼と同じ病院で看護師長として働いているのがヒロインのメガン。

 これまで読んできた作品のうち、ベティが描くヒロイン・キャラは、純朴で真面目なちょっと垢抜けない女性か、仕事を持っていて背が高く綺麗な女性がよく登場します。今回のメガンは後者の方です。オランダ男性は背が高いですから、まさにモデルのような二人が想像できます。著者ベティの夫はオランダ人なので、オランダ男性の外見や気質みたいなものがキャラクターに反映されているのかもしれません。

 

 (以下、ネタバレ)

 メガンは同じ病院で働く医師のオスカーと半年前に婚約し、結婚に向けて彼の両親に会いますが、彼の母親は仕事より家事をしっかりやってくれる女性を望んでおり、オスカーも親と同居することを考えていて、どこかモヤモヤしてしまいます。その後、メガンの実家へ行ったとき、メガンの妹メラニーにオスカーの目は釘付けになります。メラニーはメガンとは全く異なるタイプで、シャイでおとなしく、仕事はせずに家事手伝いをしています。家庭的なメラニーに骨抜きになったオスカーは、メガンが焼いたスコーンもメラニーが焼いたものだと思い込むほどの惚れよう。結局、メガンはオスカーと別れ、オスカーはメラニーと結婚します。

 ヤケは、メガンとオスカーが婚約していることは知っていますが、オスカーとうまくいかなくなったメガンの様子がおかしいことに気づき、相談に乗ります。最初は頑なに断るメガンですが、彼の落ち着いた態度に少しずつ悩みを打ち明けていくのでした。ヤケはけっしてオスカーやメガンを批判せず、個人的な感情を抜きにしたアドバイスでメガンの心を慰めていきます。そしてヤケはオスカーと顔を合わせざるをえない職場を辞めることを勧めるのですが、メガンは「やめろというの?」と少し感情的になります。

「だが、きみが決めることだ。オスカーと顔を合わせるたびに、きみはめそめそする。彼を愛しているからではなく、古いことを蒸し返しているだけだ。それは時間の浪費だよ」

 厳しく寡黙なヤケですが、彼女のことをよく見ていたのがわかります。失恋で落ち込んだ人に背中を押してくれそうな言葉です。

 ヤケは新しい職場を紹介します。それは彼が理事をしているオランダにある孤児院の臨時職員の仕事で、期間は6週間ほど。辞めることにためらっているメガンを半ば強引に説得し、帰りがけに彼女の家まで送ったときに突然キスをします。あれだけためらっていたメガンは、なんとこのキスでオランダ行きを決めるのです。キスの力は偉大なり?。いや、よほど確信がないとセクハラ行為になりますよね(笑)

 ヤケの運転するロールスロイスでメガンはオランダへ渡ります。メガンはずっとヤケは既婚者だと思っていたので、途中彼の自宅に立ち寄ることになったときに戸惑います。メガンが勝手に既婚者だと勘違いしていたわけですが、ここでふと疑問に思ったのが、オランダ行きを決意させたキスをメガンはどう受け取ったんでしょうかね。既婚者だと思っていたヤケからのキス。挨拶程度と思ったんでしょうか…それとも…ちょっと微妙です(笑)。

 メガンは孤児院の職員として少しずつ仕事に慣れ同僚とも楽しく過ごすようなり、ヤケが男爵であることを知ります。一方、ヤケはメガンを孤児院に送った後も数週間オランダに滞在していましたが、彼女に会うことはしませんでした。ヤケが孤児院を訪ねたとき、定期的にくるドクター・ティムスが彼のフィアンセの写真をメガンに見せながら親しげに話をしているところに出くわします。ヤケはクールな態度でメガンに声かけますが、メガンは連れてきたときは親しげだった彼の態度が変わったことに動揺します。ヤケは若いティムスと親しげにしているメガンにやきもきしてたようです。

 まだ気づいてはいないが、彼女もぼくを愛している。彼女自身が気づくまで待たなくてはならない。時間はかかるが、ぼくは忍耐強いたちだ。

 自分からメガンの気を引くことはするまい。その気になれば彼女の愛を得られることはわかっていた。うぬぼれではなく、女性を魅了する力が自分にあることに彼は気づいていた。だが、あえてそうするつもりはない。

 「どんだけ~~~」(笑)。婚約破棄したばかりで傷心したメガンにつけいるような真似はしたくないのはわかりますが、焦らしてるようにも見えます。当のメガンは彼の態度から関心が持たれていないと思っています。その後、ティムスには婚約者がいることを知って安堵するヤケですが、メガンはまだ距離を感じています。

 まもなくオランダの仕事も終わりに近づいたころ、夕方、仕事を終えたメガンは砂浜を散歩しながら、帰国後のことを考えていました。次第に雲が出てきて空は真っ暗になり嵐が来ます。雷雨になり、メガンはあわてて小道に出て薄明かりのなかひたすら歩きます。道が二つに分かれているところで、海から離れた道を選んでしまいますが、それは孤児院から遠ざかる結果となりました。そのとき道の脇に白い袋を発見、なかには毛布にくるまれた赤ちゃんがいたのです。嵐はひどくなり雹も降ってきたなか下草にしゃがみこみ、ひたすら助けを待っています。

 夕食の時間になっても戻らないメガンを同僚たちが心配し始め、ちょうどヤケが嵐の影響を心配して孤児院に電話を入れたことによって、メガンが戻ってこないことを知ります。そして嵐のなか、車を走らせメガンを見つけ出すのでした。

 現れたヤケの姿にメガンはわっと泣き出し、「ヤケ、ああ、ヤケ、赤ちゃんがいるの」となるわけです。今まで名前を呼んだことがないメガンがここでいきなり「ヤケ」です。取り乱したってことでしょうか。

 その後、赤ちゃんは無事助かり、メガンも回復して元気になりますが、ヤケの態度をどう理解してよいのかわからない様子です。そして帰国前日、ヤケがメガンを訪ねにきます。メガンはヤケに今までのお礼をいい、もう会うことはないけれど、ヤケを愛していることを告げます。ヤケは何か言おうとしたときに、ドクター・ティムスたちが入ってきて中断されてしまい、メガンは一旦その場を離れてしまいます。もどったときにはヤケの姿はなく車も消えていました。一方的に告って終わってしまったメガンは少し後悔します。

 帰国当日、玄関にはロールスロイスによりかかるヤケが現れて、メガンを車に乗せます。列車とフェリーの予約をとってあることを伝えますが、ヤケは自宅へと向かいます。メガンにとっては彼の行動はさっぱりわからないのですが、彼は多くは語りません(タイトル通り「寡黙な教授」だから(爆))。自宅に着いて車を降りたヤケは芝生を横切り馬場に続く木の扉を入ったところでようやく口を開き、プロポーズします。

 彼はメガンを抱き寄せ、キスした。病理学の教授にしてはキスの仕方がすてき、とメガンはぼんやりと思った。

 病理学の教授たちはキスが下手ってことでしょうか???「女性を魅了する力が自分にあると気づいていた」ヤケにとってこれはショックでしょう(爆)。

 「教えてほしいの……」

 「ぼくと結婚してくれるね?」

 「ええ、ヤケ。でも、まず教えて……」

  「つまらないことをきいて時間を浪費するんじゃない、マイ・ラブ」

 「汽車に乗り遅れてしまったわ」

  会話が噛み合ってないような...(笑)。

 ロマンチックなシーンのはずなのに爆笑してしまいました。それに質問を聞く前から「つまらないこと」と言ってるあたりもちょっと…。今回のヒーロー、強引さや内面にある自信過剰的な部分がちょこちょこ出てきて、寡黙なだけにちょっとこわいかも…。ヤケが本当にモテる男なのかは最後まで微妙でした(笑)。

 

 

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