鈴の文箱

日々の雑感(覚書)、本のこと(ネタバレあり)

忘れ物

 7月に入った。今月は節約に励もう!と毎月思うがうまくいったためしがない。

 今日は歯科医の予約日だった。

 早めに起きた朝の空はどんより曇り。天気予報では雨だったので、折りたたみ傘をバックに入れ、1枚多めにハンカチタオルを入れた。

 朝食後、入念に歯ブラシをして、外出の準備。ガスの元栓は閉めた。戸締りOK。

 バスが遅れるかもしれないから1本早いのに乗ろうと決め、バックの中のスマホSuicaが入ったパスケースを確認し、家を出た。

 バスが5分遅れたが、予定の電車に乗れた。

 電車が出発して間もなく、

 (そういえば、月が替わったから保険証の提示が必要だっけ。マイナンバーカードでもいいかな)とふと気づく。

 (えっと、診察券はすぐに出せるようにしておこうかな)とバックの中身をのぞいたら愕然。

 (さ、さ、財布を忘れたぁ.......)

 通院用の財布の中に診察券も保険証もある。

 たった一駅乗っただけで、すぐに降りた。下り電車はわりとすぐに来たが、バスが出たばかりで、次のバスは10分後。

 引き返したところで、バスの本数は少しずつ減っていく時間帯で予約時間には間に合いそうもない。

  ようやく来たバスに乗り、頭の中では対策を練っている。

 (今日中に行くべきか?いや、大まかな治療は終わっているし、小さな虫歯の治療だけと言ってたし、予約変更するか。いつにしよう。)とぐるぐる頭を巡る。

 循環バスに乗ったつもりだったが、通勤通学時間帯を過ぎる9時ぐらいから途中止まりがある。乗ったバスは私の最寄りバス停の一つ手前が終点という悲しいアナウンスが流れ、気づいたら私一人しか乗っていなかった。

 (ここから、歩きかよぉ.....)とバス停が近くなり、バスが減速し始めたときに立ち上がったら、

 「停車するまで、席をお立ちにならないでください」と注意された。

 聞こえないふりをして降車し、蒸し暑い中、自宅へ歩く。

 すっかり気が滅入ってしまった。体調不良ってことにして予約は変更することにした。

 自宅に戻って歯科医に電話。快く予約変更してくれて「お大事に」と言われたときは、心がチクリと痛んだ。

 昨日からバックの中を何度ものぞいているのに、財布が入っていないことにどうして気づけなかったんだろう、とひどく落ち込んでしまった。

 バックの中が暗いときに、黒い財布が見えなくくなったのは40代後半からだった気がする。つまり老眼が始まったころである。だからこそ気をつけていたのにと後悔の荒波がなかなか静まらない。

 忘れ物に関しては、小学校3年のとき、よく忘れ物をした。学級崩壊クラスでしょっちゅう泣き出す先生だったので、授業がちょくちょく中断し、何か大事なこと言ってったっけ?ってな調子だった。だから担任から注意されても忘れるものは忘れる。

 やがて、母との面談のときに、担任から「特別支援学級に入ったほうがいいほど、忘れ物の回数が多い」と言われたらしい。母は真に受けて、小学1,2年の担任の先生に相談に行って、私の知能に問題はあったかを訪ねる始末。もちろん、小学1,2年のときは忘れ物などなかった。帰りのホームルームで必ず確認してくれていたからだ。それ以来、母は忘れ物をするたびに私に激怒するようになり、もちろんいじわるな兄もそれに加担するので、それがトラウマとなった。自己肯定感が低いのもこうした影響が大きい。

 そのせいか、今日のような忘れ物が大惨事に思えてしまうのだ。「わすれちゃったぁ~あはは」と笑って、すぐに忘れてしまう人がとてもうらやましい。

 頭の中ではわかっている。予約時間前に連絡したし、快く変更してもらえたし、なんら問題はない。

 だけど、なんか気が滅入っているのだ。忘れた自分に対しての嫌悪感である。こういう思考回路だからうつっぽくなるのだろう。そこで、気分転換に、歯科医の帰りによる予定だったスーパーの特売に出かけた。

 (そうだ、節約するんだった。余計なものは買わないようにしよう)と気を引き締めて店を回る。

 予定通りの買い物を終えて、家路に戻りながら、頭の中ではまだどこかで引きづっている(暗っ)

 そして信号待ちしていたときに通り過ぎたバスを見たとき、

 (往復の交通費が無駄になってしまった....。昨日、今月こそ節約しようと思ったのにぃ.....)

 挫折のイラスト

 7月、2日目にして、交通費赤字(泣)