鈴の文箱

日々の雑感(覚書)、本のこと(ネタバレあり)

昭和45年9月14日

 入院中の母の面会に行ったとき、新聞記事の話から、「今年はトコジラミが発生してるらしいから、桐ダンスを動かして掃除しないとね」と言ったら、「あのタンスはもう古いからこの際捨てちゃっていい」と珍しい発言。退院後に勝手に捨てたとか言われそうなので、何度も確認した(笑)。

 かなり傷んでいて、ひび割れもあり、本人もそれをわかっているのか、あまり着物や衣類は収納されていなかった。一番下の引き出しの奥に古新聞があった。

 

 昭和45年9月14日の読売新聞(朝刊)だった。

 前日行われた大阪万博の閉幕式が一面を飾る。

 

 当時の記事の文字サイズは、見出しは現在と変わりないが、本文はすごく小さい。

 

 当時はコンパニオンと言わず、ホスト、ホステス(笑)

 

 自動車税が値上げ。リストには「三輪車」の文字が...。

 近所の八百屋さんが使ってたから懐かしいなぁ

 

 スポーツ欄。やはり読売は巨人中心。堀内、長島が現役時代。

 

 求人欄も興味深い。

 「岩崎通信機株式会社」と「ハトヤホテル」、どちらも福利厚生が充実。

 

 「東京信用販売」秘書募集「容姿端麗の方」。おいおい、ほかのスキルは求めてないのかい、と思わずつっこみたくなる。しかも給与45000円。岩崎通信機の高卒者の給料より高いではないか。

 その下には「お口の恋人 ロッテ」が包装要員を募集。ガムの包装などだろうか。「独身寮完備、生花、茶道、和洋裁のクラブ活動活発」これで寿退社できなかったら....。

 

 この時期はちょうど日本経済の高度成長期。夜の世界も活況を呈しているのか、ホステス募集の記事も多い。

 新開店「サロン処女飛行」(右上)ホステス ゴーゴーガール。「皆さん、初めての方ばかりの明るいお店です。お金、住い、着物その他どんなことでも相談してください。寮有、お子様の有方は保育室にてお預かりします。バイトの方自由時間です」従業員の待遇がとてもいいけど、どんな店なんだろうか.....

 日興証券(現:SMBC日興証券)(中段)も女性アルバイト募集。「18歳~30歳まで。日給1250円。交通費全額支給、昼食費一部補助、社保完備、厚生施設完備。」アルバイトでこの待遇は魅力的。 

 

 書籍の広告も興味深い。一面下の広告欄は高校生向けの受験雑誌。研究社が出していた「高校英語研究」。読解力養成講座、時事英語もあってレベル高そう。

 

 学研の「コース・シリーズ」。旺文社の「時代・シリーズ」。「蛍雪」という言葉はこの雑誌で知った。意味は父親が教えてくれたっけ。

 

 「週刊現代」はどの時代でも「現代」の話題を追う。

 「生み捨て実子殺しの鬼ママに豹変する女のタイプ」。この特集は令和版でもぜひ組んでほしい内容だと思う。「スモン病」、当時は薬害による病気も多かったようだ。

 

 岩波の児童書の広告。「長くつしたのピッピ」や「やかまし村の子供たち」が出ている。作品集として全集刊行が多く出版されていた。全集がそろえてある本棚を見るとわくわくした。

 

 さて、テレビ番組欄は、カラーの表示がまだ出ている。夕方は子供向け番組が多かった。リアルタイムで見ていた「ひみつのアッコちゃん」。「サンダーバード」と時間がかぶって兄とよくケンカした。8時からは大人の時間と言われ、父のチャンネルタイムとなった。プロレス中継は猪木が現役。父はたいてい「大岡越前」「月曜ロードショー」あたりが定番コース。でも、子供が寝たころを見計らって「プレイガール」を見てたと思う(笑)

 

 NHKと教育テレビ(Eテレ)「新日本紀行」は母が好きな番組。ピアノを習っていたので「ピアノのおけいこ」はよく見ていた。教育テレビは朝から晩までガッツリ真面目な教育内容ってか放送大学なみ。

 

 東京12チャンネル(テレ東)の朝番組がユニークである。歌謡番組のあと、「テレビ求人案内」という5分番組がある。その後、「工業高校講座」などの教育番組が放送されている。現代国語、株式、サイエンスと幅広い。午後のロードショーは「奥様映画館」である(笑)

 スマホやビデオのない時代、テレビの番組も面白かったし、新聞の書籍広告が多いので見ていて楽しい。

 片付けの合間に見つけた古新聞。タイムスリップできた楽しい時間だった。