鈴の文箱

日々の雑感(覚書)、本のこと(ネタバレあり)

1812年

 久しぶりの投稿。もうすぐ12月。このころになると、どういうわけかチャイコフスキーの『大序曲 1812年』が聞きたくなる。大掃除するときにこれを聴くとなぜかテンションがあがる(笑)。

 この作品の終盤あたりはCMなどの映像にも使われているので、聴いたことがあるという人も多いだろう。

 きっかけは、父が持っていたレコードだった。父はどういうわけかベートーヴェン以外は聴かず、交響曲は全部持っていた。ピアノを習っていた私が小学2年になったときにそのレコードを譲り受けた。78回転とか古いレコードだったので、壊れかけたプレーヤーでやっと聴けるシロモノ。当時、あまりベートーヴェンが好きではなかったので、十何枚かのベートーヴェンのレコードの中に1枚だけチャイコフスキーが入っていたときは、興味を引いた。

 「これはベートーヴェンじゃないの?」

 「ああ、これはロシアの作曲家だ。女の子にはA面の『くるみ割り人形』がいいぞ」

 はい、そうですか。といって『くるみ割り人形』を聴くことはせず、B面に針を落としたら、そちらの方が気にいってしまった。

 「B面を聴いているのか。そうか、かっこいいだろう」

 「なんて曲?」英語に書かれた字が読めずきくと

 「『1812』という番号の曲だな」

 父もよくわかっていなかったのだろう、番号の曲というのが印象的だった。

 時は流れて、社会人になって立ち寄った楽器店の廉価のCDコーナーで見つけた『1812年』は懐かしさと安さだけで選んだ。指揮者がユーリ・シモノフと書かれていて、そのとき初めて彼を知ったのである。そしてその演奏に衝撃を受けた。

 いまでこそ、踊るような指揮で面白がられているが、初めて映像でシモノフのタコ踊りな指揮を見たとき、威厳のある指揮者をイメージしてただけに、ショックを受けた(笑)。でも、この指揮だからこそ、各パートの音を十分に引き出しているのだろうとも思える。

 カラヤンや有名どころの指揮者による『1812年』はそれぞれ魅力があるが、やはり私はシモノフがお気に入りである。

 終盤(15分すぎ)はシモノフの真骨頂


www.youtube.com

 

Music for Strings [Hybrid SACD]