鈴の文箱

日々の雑感(覚書)、本のこと(ネタバレあり)

透明水彩画

 私にとってユーチューブの良さは自分に合った学び方を探しやすくしてくれたことである。

 例えば、手芸。母が友達に誘われて通った編み物教室は最初に道具一式、毛糸も指定の店で買わされてずいぶん散財した。数年通っていたが、買った道具をすべて使い切ったことはなかった。特価品の毛糸を別の店で買うと先生が機嫌悪いとかで、生徒たちは気を使っていたらしい。そして編み物の腕は上がったかというと、一生懸命編んだセーターもダサすぎて着れない。編んだ本人ですら「高い毛糸でもったいないけど、ベランダにでるのも恥ずかしい」というくらいである。

 ユーチューブで検索すると、素敵な作品の編み方を丁寧に教えてくれる動画が山ほどヒットする。これなら、安い毛糸だろうと、その時に必要な道具さえあれば誰でも始められる。私はそれがきっかけでかぎ針編みをはじめた。

 そんな動画のサイドバーのサムネールにかわいい女の子の水彩画が目に入った。

 何気なく見た動画だが、ハマってしまった。


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 水彩画家の柴崎春通さんの動画。先日、チャンネル登録者数100万人を超えたばかりだ。ざっくり描いた下絵にべちゃべちゃと色を塗り始めて、え?どうなってんの?と見入ってしまう。みるみるうちに素敵な作品に仕上がっていく。

 柴崎さんの魅力は優しい語り口と、惜しげなく見せてくれる技術。また、画材も100均や学童用の絵具やクレパスなど身近なものを使って見せてくれたり、良いところ、使いずらいところもわかりやすく説明する。

 初心者に太目の水彩筆を勧めていて、同じものをアマゾンで検索したら、レビューに柴崎さんおすすめと書いている人が多かった。実際にこの筆1本で描く動画もあるので参考になる。

 

 私は絵を見るのは好きで、旅先で美術館があれば必ずのぞく。あの非日常的な静寂な空間も好きだ。そこでみる様々な絵画は特別なものがある。

 ところが描くほうはというと、てんで苦手。学校でかならず一人か二人、絵の上手な子がいるものだが、その子たちの作品をみるたびに自己肯定感が低下する。

 柴崎先生の動画はそんなトラウマを抱える私に、ちょっと描いてみようかなという気持ちにさせてくれたのだ。

 で、試したのがこれ(笑)


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 鉛筆ではなく、身近にあったシャープペンとノートのはしきれで、動画を観ながら描いた(笑)

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 動画同様、若者ということで二十代ぐらいの女性を描いたつもりだが、どうみても三十代に見える。私が若くないから若く描けないのかも(笑)。

 

 本を検索すると数冊ヒットした。その中の一冊。

全体感で描く透明水彩―色・いろ

 紹介説明では、

パレットに24色のセット絵具を順番どおりに並べて気づくこと。絵具の配置に混色しやすい合理的な法則がある。混色スペースにも、使いやすい法則が生かされている。このことを理解することから水彩画上達が始まる。ジャガイモとサツマイモ。どちらを描こうが、使う色はまったく同じ3色。混ぜるちょっとした比率の違いが、異なる色合いの異なる質感を生む。このように単体表現が、大胆な色づかいと思い切った筆づかいをマスターする出発点になる。そして複数表現へ。ものとものの関係などを全体感でとらえた彩色法の『全体感で描く透明水彩』が水彩画上達の決め手となるだろう。

 『異なる色合いの異なる質感』など文章や写真だけでは途中経過がよくわからない。

 しかし、ユーチューブではパレットの色の並べ方、暖色と寒色の作り方、想定外の色の組み合わせで驚くような効果を出す色など、実際に見せてくれる。

 なによりも柴崎先生の人柄が大きな魅力でもある。絵以外でも日々の生活(飼い猫や料理、日常ルーティンなど)を紹介しているが見ていて心が和む。そういった人柄も先生の作品に反映さえているのかもしれない。