鈴の文箱

日々の雑感(覚書)、本のこと(ネタバレあり)

苦悶のkumon

 ステロイド服用が2年経過し、副作用のつきあい方も慣れてきたが、くすりのせいなのか、加齢のせいなのか、頭の回転の鈍さを実感するようになった。

 きっかけは2月上旬に新聞記載された難関中学校の算数問題。第一問の計算問題に挑んだが正解に到達できない。小学6年生が解ける問題が解けないという、相変わらずのビリギャル、いや、ギャルではなくビリババァである。

 ならば、計算ドリルで頭の体操をしよう、と検索すると、出るわ出るわ....。「天才」「脳トレ」「インド式」「超計算」「パズル」「百マス」「ドラゴン」そして「うんこ」。ユニークなドリルのバリエーションに驚く。

 「大人の」ドリルは、母が老人会でそのプリントをもらったきたことがあるが、たいくつそのものだった。それは公文出版のものだった。ドリル=公文と思っていたので、小学生向けなら飽きない工夫がされているだろうと勝手に期待し、小学ドリルを買ってみた。

 私のビリギャル人生は小学3年生から始まっている。そこで小3の数量図形のドリルを選択した。

3年生の数・りょう・図形 (くもんの小学ドリル 算数 数・量・図形 3)

 2年の復習から始まり、ふむふむ、これは楽勝と思ったのもつかの間。

□にあてはまる数字を書きましょう。

 11dl=__l___dl

 11dl=_____ml

  デ、デシリットル...?! え~っとぉ......と、PC検索したくなる欲望を抑えつつ、頭の中でひねり出す。リットルとミリリットルは日常的になじみがある。しかし、デシリットルがピンと来ない。そういえばセンチリットルとかなかったっけ?2年生の復習ドリルですでに苦悶するのである。

 苦しいスタートとなったが、これ以上の脳内劣化を防ぐためには子供のころのように「やーめた」と言うわけにはいかない。この外出自粛期間を利用すべく、なんとか4月の終わりには小学6年生の算数まで終了した。

 3年の「数量図形」をはじめ、4年の「割算」、「分数・小数」、「数量図形」、「文章問題」、5年の「分数」、「小数」、「数量図形」、「文章問題」、6年の「分数」、「数量図形」、「文章問題」と公文出版にかなりご奉仕したつもり(笑)。

 解説についてはそんなに詳しくはない。もっと知りたければ公文教室へということかもしれない。スラスラ解ける問題をやっていると、作業的になって、(今日のおかずはどうしようかな)なんてことを考えてしまい、ケアレスミスを引き起こす。思考力がついているかどうかは私の脳内では不明である。

 ドリルを通して自身の心理分析をするならば、問題を解きながら、小学校時代の自分と重なることがなかった。嫌な思い出の一つとしてフラッシュバックしてもよさそうなのに算数授業の記憶がわずかしか出てこない。3年生のときに先生が大きな三角定規で黒板に書いた台形だけが頭の隅に残っているが、5,6年生の算数の授業は自称ゆとり先生の説明に頭の切れる男子生徒がチャチャを入れて、説明が脱線した記憶しかない。

 ドリルをやりながら、そうそう、ここはこうして解くんだったっけ、と思い出せたのは高校の授業である。ビリギャル高の数学(というか算数レベル)の先生はとにかく「基礎固め」に力を入れた。だから、小、中学校の算数&数学がもやもやしたままだったが、「あ~中学の数学の先生が言ってたのはこういうことだったのか」と数年後に理解できたのだ。大事なところは繰り返し教えてくれて、それを簡単な問題で試験に出すというストレスフリーな授業のおかげで、仕事で二次関数やら統計表を作るときにうろたえることはなかった。とはいえ、それはエクセルという便利なソフトのおかげである。

 小学校で小数や分数があやふやなまま、そして現在は電卓や表計算ソフトに依存しているため、いまだに税抜き価格や税込み価格がパパっと出ない。昔、駅のキオスクのおばさんたちが、出発直前に買い込む多くの客をさばいていたあの暗算の速さを、今も羨望してしまう。

 さて、公文ドリルを終え、次に進学向けのものを選んだ。

 四谷大塚『はなまるリトル3年生 算数』

はなまるリトル 3年生 算数

 1周目をやってみたものの、公文ドリルをこなしたぐらいじゃ、劣化した脳内は活性されないことを証明してくれた。解答と解説を読んでも難しい。

 特に発展問題は難しいが、おもしろさも感じられる。クイズ番組に出るような問題も多い。

 25ABの4桁の数字は、1から9までのどの整数でも割り切れます。A、B、それぞれの数字は何ですか。

 正解を1から9まで割ってみる。そして、この年になって「ほんとだぁ~全部割り切れるぅ~」と感動する。解けたときの達成感は大人も子供も同じである。そして、「これ、小3のドリルだったっけ」と表紙を見返し、自分の能力を思い知る。

 現在は2周目に挑戦中。世間の言う「小3の壁」は思ったより高い。